第3話 親友

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 と、家永の指が止まる。 「平野……」  今までの荒々しさが薄れ、家永が冷静さを取り戻したかのようだった。  それに安心し、息も絶え絶えに知己は言った。 「俺は……お前とず……っと友達で……いたいんだ…。こんな事したら、俺はお前を失ってしまう……」 「平野……」  家永は少し考え、指をゆっくりと引き抜いた。  ちゅく。  知己のそこから、耳を覆いたくなるような恥ずかしい水音が響く。 「……ん」  ぴくりと、引き抜かれる最後の瞬間、名残惜しげに知己の腰が揺れた。  だが、「友達でいたい」というのも本心だった。 「……乱暴して、すまなかった……」  家永は知己から下り、俯きつつ言った。 「いや……、いい」  やっとの思いで体を起こし、知己は 「その……俺は、お前にそんな顔して欲しくない……」  あまりにも俯く家永が不憫に思え、そう言った。 「……だが、俺の気持ちは本当だ」  家永が、ふらふらと起き上がった知己の背を支えるように手を添える。  背中に触れるその手が温かい。 「……うん」  答える知己の顔を、家永が覗き込んだ。 「唇、切れてしまったな。噛みしめてたもんな」  家永が、知己の唇に指を這わせる。  そのまま顎を持ち上げられ、知己は家永と目が合った。     
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