第3話 親友

20/21
前へ
/340ページ
次へ
「知己先輩はアンタの事『親友』って言ってたんですけど、親友ってこんな事する仲をいうんだ?」  と将之は言った。 (こいつは……!)  知己は睨み返した。 (一昨日からさんざん俺を弄んで、おそらく家永の百倍は酷いことしたくせに、何を言ってんだ?) 「家永は親友だ。将之みたいな、けだものとは違う」  何も答えない家永の代わりに、知己が言った。  そんな知己の態度に、心穏やかになれない将之だったが 「言ってくれますね。可愛い後輩に向かって」  出てくる言葉には、そうと感じさせない。 (どこが「可愛い後輩」だと?)  自分よりでかい男を人は「可愛い」とは称しないだろう。  ましてや自分を犯した男を「可愛い」認定できる人間もいるとは到底思えず、知己は会話にならないと感じた。 「それにやってる事は同じみたいですけど……?」 「……ヤってねぇ」  家永が、ぼそりと反論した。 「家永っ!」  知己は先ほどの行為を思い出し、ますます顔を赤くした。 「もういいから、お前ら出てけ」  知己は不機嫌に言った。 「俺もか?!」  家永が問い返す。 「当たり前だろっ?!(お前だって、俺を犯しかけたくせに…!)」  と、知己。 「でも僕が居なかったら先輩、困りませんか?」  将之が、さも心配そうに言う。 「なんで困るんだよ?!」     
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1301人が本棚に入れています
本棚に追加