僕の事情

11/35
前へ
/69ページ
次へ
大学には、1年上の先輩が二人居た。 僕と同じ高校卒業の先輩達。 一人は、小泉瑠果先輩。もう一人は、坂田泉先輩。 いずれも、大学2年生。 僕は、同じ高校卒業というだけで、二人から可愛がられていた。 栄も、同様に二人から可愛がられていた。 昼休みは、一緒に昼食を摂る。 いつもは、学食だった。 今日も、学食に集まる。 「類、もう大学慣れたか?」 小泉先輩が、定食を食べながら、僕に声を掛けてくれる。 「あ、はい、もう全然。余裕です。」 「栄は?」 小泉先輩は、栄のことが好きだ。 既にカミングアウトしている。 それでも、力尽くでどうこうしようなんて気は無いから、仲良くしている。 「俺も、もう慣れました。大学生活、楽しいですよ。」 栄は小泉先輩の気持ちを知っても、態度を変えなかった。 彼女も居ないのに、一体誰のことが好きなのか、僕には分からなかった。 坂田先輩が、僕達の様子を見守る。 大体は、坂田先輩が僕らのまとめ役。 僕と栄は、二人に甘えて居る。 先輩達は、優しいから好きだ。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

398人が本棚に入れています
本棚に追加