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その日のバイトの時、僕が気になったのは、田中さんの視線だった。
ホールの案内をしている僕のことを、視線で追ってくる。
田中さんも、ホール担当だ。
すれ違いざまに、コソッと、僕に囁く。
「あれから、もう、大丈夫なの?」
「あ、は、はい。その節は、ありがとうございました。」
僕はその視線を気にしながらも、お礼を言った。
栄も、ホール担当だ。
「田中さんに、何か言われたの?」
お客様が落ち着いた時に、栄が僕の隣に立った。
「ああ・・・うん・・・田中さんにも、知られちゃったんだ、僕の・・・その・・・」
「両性・・・のことか?」
「うん。」
「そっか・・・気をつけろよ、お前・・・なんか田中さんに狙われてる。」
!僕は、その言葉に吃驚した。
栄も感じてたなんて・・・
でも、田中さんは、何も言ってこない。
その日のバイトが終わった後、バックヤードで、栄が先に部屋を出た。
瞬さんは、厨房の手入れをしている。
田中さんと、二人きりになった。
無言になる僕と田中さん。
そうしたら、いきなり、田中さんが、僕を抱き締めた。
僕は戸惑う。
「俺・・・君のことが好きになったみたい。」
え・・・うそでしょ・・・・・・
僕は呆気に取られて田中さんを見つめた。
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