僕の事情

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「僕・・・男ですよ?・・・・・・」 「それでも・・・君のこと、可愛いと思ってた。気になってた。それが、あんな様を見せられたら・・・堪らなかった・・・」 そう呟くと、田中さんが、強引に、僕の唇を塞いだ。 触れるだけのキス・・・ 僕の頭は、空っぽになる。 触れるだけのキスが、段々と深いものになる。 僕は、ハッとして、田中さんの胸を押しとどめた。 唇が離れる。 「だ、ダメです・・・」 僕は、唇を擦った。 その時、栄が扉を開けた。 「おい、類、遅いぞ。」 「あ・・・う、うん。今、行く。」 僕の顔は真っ赤だった。 「俺、諦めないから。」 コソッと、田中さんが、僕にだけ届くように、囁いた。 「お前、顔赤いぞ。田中さんに、何か言われたのか?」 帰る道すがら、栄が僕の顔を覗き込む。 僕は、何も言えなかった。
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