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「今日俺、お前のこと、駅まで送る。」
「え・・え?なんで?」
「だって、追いかけられたんだろ?男に・・・」
僕は、田中さんのことも含めて、栄には全て話していた。
「だ、大丈夫だよ。僕、男だし。そいつのことも、自分で撃退出来たし。」
「俺が心配なの。いいから、駅までだけど、送る。」
「・・・・・ありがと・・・・・」
僕は、素直にその申し出に甘えた。
また、この間の男が待ちぶせしているとも限らない。
その申し出はありがたかった。
でも・・・守られる僕ってなんか・・・男として情けない・・・
しゅんと、下を向いて歩く僕に、栄が気付く。
「俺・・・お前のこと、田中さんに取られたくない・・・」
は?今、なんて言った?
「俺も、お前のこと、好きなんだ・・・類。」
「・・・嘘、でしょ?」
僕は、思わず立ち止まって、栄の顔を見つめた。
グイッと、腰を引き寄せられて、唇を重ねられた。
「ん・・んん・・・」
僕は、力一杯、栄の肩を押した。
栄は、力を緩めた。
僕の顔を見つめる。
愛おしそうな貌で・・・
僕は、どうすればいいか、分からなかった。
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