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その晩、小泉先輩と坂田先輩が、バーにやって来た。
あ・・・この間のこと・・・フォローするの、忘れてた・・・
扉を開けて、二人が微笑む。
「よお、栄、類。来てやったぞ。」
小泉先輩が、明るい声を掛けてくれる。
まるでこの間のことなんて、気にしてないように・・・
栄が、二人を席に案内して、軽く笑う。
「いらっしゃいませ。ここに来るなんて、珍しいですね。」
栄が言うと、二人は、顔を見合わせた。
「あー、うん。今日はさ、二人が居るところでちょっと話したかったから。」
坂田先輩は、黙っている。
小泉先輩を見守っている。
僕は、ちょっと離れたところから、3人を見て居た。
でも、声は聞こえてくる。
観念して、先輩達の席に近づいた。
「類。この間・・・その・・・何があった?栄に聞いても、何も喋らないんだ。」
「その話なら、俺が類を怒らせた、って、言ったでしょう。」
「いやだから、なんで怒らせたのかって、聞いても答えないじゃん、お前。」
栄は押し黙った。
僕は、無理して明るい声で言った。
「詰まらない意見の食い違いです。先輩達が心配することはありません。ね、栄。」
見たくも無い栄の顔を見て、微笑んだ。
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