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「おい、栄。やっぱり何かあったんだろ?類のやつ、出てこないじゃないか。」
類が去った後、俺は先輩達に足止めを食った。
俺が理由を話すまで、問い詰める気みたいだ。
小泉先輩が、俺を心配そうに見つめる。
先輩は、俺のことを好きと告白してくれた。
そんな先輩に、俺は本当のことを言ってもいいのだろうか。
「俺・・・実は・・・」
そこまで言ったところで、田中さんから、声を掛けられた。
「栄。仕事中。終わってから話せ。」
「あ、は、はい。すみません、先輩。仕事に戻ります。」
「あ、栄・・・」
小泉先輩は、心配そうに俺に縋ろうとした。
坂田先輩が、それを押しとどめる。
「瑠果、栄、仕事中。少しは我慢しろ。」
坂田先輩の言葉で、助かった。
本当の事を言ったら、先輩は俺を遠ざけるだろう。
類のこと、襲おうとしたなんて・・・
いくら酔っていたとはいえ・・・
いや、俺はあの夜、類にそうするつもりで、あんなに酒を飲んだんだ。
確信犯・・・俺は自分の行動を呪った。
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