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結局、小泉先輩と坂田先輩は、店が終わるのを待っていた。
随分酔っ払ったようで、足下が危なっかしい。
店が終わるのは、午前1時だ。
今は休みなので、その時間まで働くけど、大学がある日は、10時で上がらせて貰っていた。
先輩達は、1時まで、待っていてくれた。
でも、僕は・・・僕からは何も言えない。
だから、栄と仲良く見せるしか、無い。
とても嫌だったけど・・・
僕と栄が店を出ると、先輩達が扉の向こうで待っていた。
そんなに心配なの?
まぁ。
小泉先輩が心配なのは、栄の方だと思うけど。
坂田先輩は、小泉先輩を見守っている。
僕が思うに、坂田先輩は、小泉先輩が、好きだ。
いつも、一緒に居るもの。
「栄、ちゃんとした答えを寄越せよ。」
栄が、無言で下を向く。
僕は、明るい声で、答えた。
「先輩達が心配するようなことは、何も無いですって。ね、栄。」
栄は、無言でコクンと頷いた。
「本当に?」
小泉先輩は、更に迫ってくる。
僕は、栄の頭をワシャワシャ撫でた。
「ね?大丈夫ですから、僕達。」
「なら・・・いいけど・・・・・」
やっと納得してくれたようだ。
でも、そう思ったのは、僕だけだったようだ。
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