僕の事情

28/35
前へ
/69ページ
次へ
結局、小泉先輩と坂田先輩は、店が終わるのを待っていた。 随分酔っ払ったようで、足下が危なっかしい。 店が終わるのは、午前1時だ。 今は休みなので、その時間まで働くけど、大学がある日は、10時で上がらせて貰っていた。 先輩達は、1時まで、待っていてくれた。 でも、僕は・・・僕からは何も言えない。 だから、栄と仲良く見せるしか、無い。 とても嫌だったけど・・・ 僕と栄が店を出ると、先輩達が扉の向こうで待っていた。 そんなに心配なの? まぁ。 小泉先輩が心配なのは、栄の方だと思うけど。 坂田先輩は、小泉先輩を見守っている。 僕が思うに、坂田先輩は、小泉先輩が、好きだ。 いつも、一緒に居るもの。 「栄、ちゃんとした答えを寄越せよ。」 栄が、無言で下を向く。 僕は、明るい声で、答えた。 「先輩達が心配するようなことは、何も無いですって。ね、栄。」 栄は、無言でコクンと頷いた。 「本当に?」 小泉先輩は、更に迫ってくる。 僕は、栄の頭をワシャワシャ撫でた。 「ね?大丈夫ですから、僕達。」 「なら・・・いいけど・・・・・」 やっと納得してくれたようだ。 でも、そう思ったのは、僕だけだったようだ。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

398人が本棚に入れています
本棚に追加