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「本当に・・・もうしない?」
僕は、小さい声で、聞いた。
俯いていた栄の顔を見つめる。
栄が顔を上げて、僕を見つめた。
「本当に。神に誓って。これからは、友人として、一緒に居て欲しい。」
栄の言葉は、しっかりとしたものだった。
真剣な顔を浮かべている。
僕は、許そうと思った。
だって・・・栄は・・・大事な幼馴染みで・・・
栄とは違う意味だけど、栄のことは好きで・・・
「でも、僕が栄を恋愛の意味で好きになることは絶対に無いよ?」
栄は、しばらく黙ったまま、僕を見つめていた。
「それでもいい。これからも友人で居てくれ。」
僕は、栄を信じようと思った。
もう、あのことは・・・忘れよう・・・
「分かった・・・お前のこと・・・許す・・・」
「ありがとう・・・類・・・」
「でも、二度とあんなことしたら、今度は絶対に絶交だからね。」
僕は、念を押した。
なんとなく僕は、ホッとした。
いつまでも怒っているのはイヤだ。
今まで仲良くしていたのに、離れて行くのは嫌だった。
僕と栄は、同じタクシーで家まで帰った。
タクシーの中では、なんの会話も無かったけど。
反省しているらしい栄が、しょんぼりしていた。
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