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「よ、よう、類。」
栄が、僕の目を見ずに、片手を挙げた。
僕は、栄の方を見て、挨拶した。
「はよ、栄。」
栄が、中々僕の方を見ようとしない。
先輩達が、なんとなく気遣ってくれているのが分かった。
もうさ、やめようよ。
あんなの、犬に噛まれたくらいにしか、思ってないから。
幼馴染みで友人の栄の方が大事だから。
「じゃ、じゃあな、栄、類。」
先輩達と別れて、二人きりになった。
それでも栄は無言のままだ。
僕は、そのお尻をテイッと蹴飛ばした。
「い、いってっ・・・」
お尻を押さえて痛がる。
くっくっくと笑ってやった。
「もう、これ以上変な態度取ると、もう一回、蹴るからね。」
そう言う笑顔の僕を見て、栄はホッとしていた。
微笑も・・・浮かべた。
「お、おう。しっかし、いきなりいてーよ。」
「こうでもしないと、お前、切り替えられなかっただろ。いい気味ーーー。」
悔しそうな栄と共に、講義室に入っていった。
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