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俺、坂田泉は、小泉瑠果のことを、好いている。
高校時代からだから、結構我慢しているということだ。
瑠果は、小顔で色白のキレイな肌と、大きく潤む色素の薄い瞳、同じく色素の薄いサラサラの髪の毛をしていた。
そのカットの仕方が絶妙で、瑠果の可愛さに寄ってくるやつらも居た。
俺が傍で守らなくても、瑠果は、柔道5段の強さで、そういう輩をやっつけてきた。
あいつは危ない・・・
そういう噂が飛び交い、瑠果に手を出す者は居なくなった。
そう、この可愛い顔で、俺よりも強いのだ。
笑ってしまう。
そんなだから、俺は、中々瑠果に自分の気持ちを言えないままで居る。
瑠果が栄を好きだと告白した時も、俺は何も言えなかった。
だから、見守ることにした。
静かに、ひっそりと、瑠果のことを、見守る・・・
「俺、つけ込んじゃおうかなぁ。今なら、栄弱ってるし、落とせそうな気がする。」
瑠果が、意気揚々と明るい声を放つ。
ああ、可愛いな・・・でもこいつ、怪物並に強いんだった。
「なぁ、どう思う?泉。」
「そんなの・・・類を出し抜くようで嫌じゃ無いか?」
「だって、類は栄を好きな分けじゃ無いだろ?なら、別にいいんじゃないか?」
それ以上言っても無駄だと、俺は諦めた。
「俺、今日の昼休みに、もう一度栄に好きだって、言ってみる。」
明るく言う声に、俺の心は曇った。
これでうまく行ってしまったら、俺のこの切ない心はどこへ行くんだろう?
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