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「瞬、悪い。土曜日、休み貰いたい。代わりのヤツ、連れてくるから。」
田中が、嬉しそうに幸せそうな顔をして、俺に告げる。
俺と田中は、幼馴染みで、この店も一緒に始めた。
「ああ、分かった。」
「そんな顔すんなって。イケメンが台無しだぞ。」
田中の軽口に乗れる気分じゃ無い。
なんで分からないんだろう?
俺が田中のことを好きだって。
28年間、ずっと一緒に過ごしてきたのに。
ずっと一緒に過ごしてきたら、普通、気付くはずだろ?
なのに、バイトの小野類のことが好きになったなどと、ほざきやがった。
じゃあ、俺は?
俺のことはどうでもいいわけ?
そりゃあ、恋人として付き合って来た分けでは無い。
でもいつか。
いつかは・・・って思ってたのに。
田中ってこんなに鈍感だったのか・・・
俺の熱い視線も届かないほどの?
何回も目を合わせている。
その度に、熱を送っていたはず。
結果、一緒に店を始めたんだから、俺の気持ちは届いていたはず・・・
なのに・・・
俺は、この気持ちをどうしようもない。
消せそうも無い。
だから、だから、早く俺の元に戻ってくれるといい・・・
そんなことを願いながら、それはもう無理なのかも、という気持ちと、胸がザワザワと騒いだ。
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