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結局、今流行のアクションシーン満載の海外映画を観た。
スリル抜群で、面白かった。
映画が終わってエンドロールになった頃、田中さんが僕の手を繋いだ。
所謂、恋人繋ぎってやつ。
僕は吃驚して、そしてその手を握り返した。
やっぱり、恋愛は、手を繋ぐところからだよね。
僕の今までの恋愛も、そうだったもの。
女の子相手だったけどね。
明るくなり、田中さんから手が離される。
少しだけ、寂しい気持ちが湧く。
スクリーンを出ると、見知った顔に出会った。
栄と、小泉先輩だった。
偶然にも、同じ映画を同じ日の同じ時間に観ていたようだ。
偶然って、凄いな。
どやどやと出てくる観客から守るように、栄の手は小泉先輩の肩を抱いていた。
「よお!類じゃないか。お前も、この映画観てたんだ。」
守られながら、小泉先輩が明るい声で僕を見つめた。
栄は、僕から目を逸らせている。
この間までは、そこは僕の居る場所だったのにね・・・
なんだか寂しい気持ちになった。
「は、はい。小泉先輩達も・・・あ、紹介します、バーで会ったかもしれませんが、田中健さんです。バーの仕事仲間です。」
「ああ、あのバーの!仲いいんだな。」
「あ、はい・・・」
「どうも、田中と言います。類くんとは、お付き合いさせていただく方向で居ます。よろしくお願いします。」
小泉先輩も僕も驚く。
驚いていないのは、栄くらいだ。
「あ、こちらこそ、よろしくお願いします、二人の大学の先輩で、小泉と言います。」
栄の手はまだ肩に乗ったままだ。
僕は栄を見つめた。
僕とつるんでる時に比べて、オシャレになったような・・・
小泉先輩が選んだ服だろうか?
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