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僕達は、珈琲を飲んで、ひとしきり、映画の話やお互いのことで盛り上がった。
主に、話ているのは、田中さんと小泉先輩だったけど。
田中さん?
いくら小泉先輩が可愛くても、今は栄と付き合ってるんですからね。
手出し無用です。
そう言いたくなるくらい、二人は意気投合していた。
栄が、腕時計をチラッと見て、「瑠果、もうこの辺で」と囁いた。
瑠果・・・って、呼んでるんだ・・・
意外に手が早いんだな・・・栄・・・
なんて、ちらと頭の隅に浮かんだ。
「ああ、じゃあ、俺達、この後買い物だから、また今度、一緒に遊ぼうぜ。」
「はい。また、今度・・・」
小泉先輩の言葉に、僕が頷いた。
これ以上一緒に居ても、二人の邪魔をするだけだ。
田中さんを見ると、満足そうな笑みを返された。
瞬さんと一緒の時のような、悪戯小僧の笑顔。
この人なら、誰にでも愛されるんだろうな・・・僕は思った。
カフェで別れて、僕と田中さんは、川の近くのベンチに腰掛けた。
時刻はもう夕刻を告げている。
夕焼けがキレイだった。
田中さんが、僕の肩を抱いて、引き寄せる。
僕は、顔を真っ赤にしながら、田中さんのされるがままだった。
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