僕の事情

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それにしても、やはり生理は面倒くさい。 友人にバレないように、トイレでナプキンを交換する。 男性トイレには、生理のゴミ入れなんてものは置いてなかったから、僕は臭わないように気をつけながら、替えたものを巾着の袋に入れて、持ち帰らなければならなかった。 その作業は気を遣ったし、友人に気付かれないように、神経を使った。 栄だけは知っているから、彼の前でなら、トイレも平気だったけれど。 両親にも、栄だけは知っている、と言ってある。 すると、両親は、栄に、くれぐれも僕のことをよろしくと、ギュッと握手をしていた。 栄も、真剣な目で、「はい」と言ってくれたっけ。 僕は、酷くめんどくさくなり、親をなじったことがあった。 なんで、こんな身体に生んだのだ、と。 親を責めた。 両親は、青ざめた顔をして、「ごめんね。ごめんね。」と謝るばかりだった。 母だって、父だって、こんな身体にわざと生んだわけじゃないのに。 それから僕は、両親を責めるようなことは無くなった。 僕は僕の人生を受け入れる。 思って見たら、他人と違う人生が送れるんだもの。 その分、楽しまないと。 そう思うことで、心に蓋をした。
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