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僕の手を取って、近くの公園に連れて行かれそうになる。
相手を見ると、まだ若い男だった。
ハァハァと、息を切らしている。
僕は夢中で、その手を振り切った。
「ここで大声で叫んだら、通りがかりの人が来るよ。見られても、いいの?」
僕は、相手を振り返って、脅した。
「大体、僕に、何の用?」
暗い夜道でも分かる、その男の醜い顔。
ふーふーと欲情する顔。
その時、僕の下半身から、ズルリと血が流れるのを感じた。
まずい・・・溢れるかも・・・
今日はグレーのズボンを履いている。
溢れたらバレル・・・
僕は、元来た道を、走り戻った。
バーのある、大通りに出たためか、男はこれ以上追ってこなかった。
僕は慌てて、さっき出て来たドアを開ける。
後ろ手にドアを閉めて、ハァハァと息をついた。
「あれ?類くん?どうし・・・・・」
まだ店じまいの支度をしていた、田中さんが、僕の下半身を見て驚いた顔をした。
しまった・・・僕は、田中さんに近づいて、小声で言った。
「お願いです、オーナーには黙っていて・・・」
オーナーは、厨房の方の片付けをしていて、ここには居ない。
「って・・・類くん・・・君って・・・・」
僕は田中さんに本当のことを言わざるを得なかった。
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