第1章

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犬は柴崎を追いかけるどころか、俺の周りでワンワンと吠え続ける。 「クゥン…クゥン…」 柴犬は俺の足元をクルクルとせわしなく回るとセーターの袖をグイグイと引っ張る。 「どうし…」 柴犬の表情はまるで俺に 『お願い!ボクに着いて来て!』 と言わんばかりの表情だった。 俺はしゃがみ込むと柴犬の頭を撫でる。 「なぁ。お前、どこか来て欲しい場所があるのか?」 そう言うと柴犬はワンワンと吠えるとどこかへ行こうとする。 「あ!おい!」 俺は夢中で柴犬を追いかけた。 柴犬は途中、俺に後を着いて来させるかのように振り返りつつ、道を案内する。 路地を抜けると道路があり、その道路の右側を真っ直ぐに突き進むと小さな公園が見えてきた。
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