第2話 水龍族の長槍騎士

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砂龍王妃マールの言う≪浄化術の能力者≫とは、一体どのような人達なのか? そのような疑問を抱きつつ、デュラックは水の都の東側の停船場を目指す。 水龍族は、古くから水の都アヌテラに住処を構えており、彼らの大半が長槍を武器として、秩序を乱す邪悪な魔物と戦っていると、デュラックは父王から聞かされていた。 けれども、彼が生まれたばかりの年から、水龍族の中で戦える者は徐々に少なくなってきて、遂には武器を造る者がたった一人になってしまったとも、彼は聞いている。 水龍族の歴史のことを考えているうちに、船長の声が聞こえた。 「間もなく、この船は水の都アヌテラの東入り口に到着致します。 お降りのお客様は、お忘れ物のないよう、ご注意下さい」 船長の声を合図に、デュラックは荷物を確認した。 斜めかけ鞄を持ったデュラックは、水の都の東入り口に停まった船から降りた。 彼が降りたアヌテラは、水の都というだけあり、四方八方から水が流れている。 その水は、海となって魔界中を巡り、各種族の住人達が生活に役立てている。 この街は、至る所に青緑色の水が流れ、水上には民家がびっしりと並んでいるため、一目見ただけでは、どこが誰の家なのかわからない。 (これだけ家がたくさんあると、能力者を捜しにくいな……) デュラックは急に気弱になったが、父王から「どんなに難しいことがあっても、決して諦めてはいけない」と教えられたことを思い出し、水の都の地図を確認する。 その地図で、彼はふと、赤い文字で≪鍛冶屋スポデューン≫と書かれているのを見つけた。 彼は、その鍛冶屋のスポデューンという人物に、興味を持っていた。 というのも、彼は以前父王から、スポデューンという男が水の都で唯一の鍛冶屋であり、数少ない長槍使いの親であると、聞かされていたから。 しばらく地図に記された文字を眺めていたが、デュラックは目的地を≪鍛冶屋スポデューン≫に定め、鞄の持ち手を握り直した。 が、デュラックが鍛冶屋の方向を見ながら四歩踏んだ時、彼の向かい側から「そこをどいてくれ!」と言いながら、青い体を持つ龍姿の少年が走るのが見えた。
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