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≪ガルドラ≫というこの魔界には、砂・水・火・葉・氷・岩・風・華・雷・金の十属性の龍魔族と、闇の属性をも司るといわれる種族≪魔道族≫が、互いに共存し合って暮らしている。
そしてこれは、砂龍王女リタ姫と、その仲間の龍戦士達の誕生よりも、千五百年以上も前の物語である。
遥か昔、この魔界は龍の姿をした魔族がたくさん住むことから、人間達からは≪龍の魔界ガルドラ≫と呼ばれるようになった。
その魔界には町や村、樹海などはあった。
だが、唯一欠けているものがあると、とある一族の男性が感じていた。
彼の名は、ラドダン。
彼が思っていた、この魔界に欠けているもの。――
それは、サファイアのように青く煌く砂漠を中心とした王国。
その砂漠がフィブラスという名前だとわかると、その青き砂にちなみ、同系色の壁の城を造る。
次に彼は、城下町及びそれを守る門を造り、砂龍族の人々に提供した。
やがてその砂漠は、砂龍族の人々で賑わうようになり、彼は一国の王となった。
まだ若かった国王ラドダンは、同い年の貴族の娘と結婚。
彼の即位を祝うように、人々はラドダンのことを≪砂龍王≫と呼び、またその王妃のことを≪砂龍王妃≫と呼ぶ。
それから十四年が経ち、砂龍王ラドダンとその王妃の間に、第三王子が誕生した。
由来は特になかったが、≪デュラック≫と名付けられた王子は、王妃に抱きかかえられ、誕生式典の会場に出る。
会場には、ラドダン王夫妻や生まれたばかりの王子の他に、彼の二人の兄や兵士達、そして砂龍族を始めとするこの魔界全ての種族の民で賑わう。
彼らは歌や踊り、持ち前の芸などを王達の前で披露した。
こうして、誕生式典による楽しい一時も、何事もなかったように過ぎていく。
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