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べえ子はかいぶつの姿を見てびっくりしました。
「どうしたの? 今日はあなたのおたんじょうびでしょうに?」
「べえ子は俺にたんじょうびをあげちゃって後悔してないのかい?」
「ううん、ちっとも」
べえ子はにっこり笑ってこう言いました。
「一歳のおたんじょうび、おめでと」
かいぶつは顔をくしゃくしゃにして泣きだしました。うぉおんうぉおんと泣きました。
「どうしてたんじょうびなのに泣いてるの?」
「俺、やっぱりべえ子に返すよ。たんじょうび返すよ」
「どうして? 気に入らなかった?」
「違うんだ、これは俺からのたんじょうびプレゼントなんだ。だって自分のたんじょうびに誰かにプレゼントしたって構わないだろ?」
べえ子の顔がぱっと明るくなりました。
「だったら来年は私がまたおたんじょうびをあげるね」
「だったらだったら、来年の来年は俺がまたべえ子にたんじょうびをあげるよ」
ふたりは十二時を過ぎてたんじょうびが終わっても楽しそうにお話を続けていました。
かいぶつは次の日、来年のカレンダーを買ってくると『べえ子のたんじょうび』に大きく〇をつけました。
── おしまい ──
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