９９９の夜と最後のプレゼント

キカイが沼のアグレイ

半面キカイのアグレイ

バシャ　バシャ 　バシャ

肘の辺りで体に固定された両腕を上手く使い、男が泉の水を顔にかけていた。だが、奇妙な事にその目を覆っていたのは、黒き丸眼鏡。
ブルブルブルと顔を振り、その若い男は眼鏡を振るい落とした。

「なんと、この俺の顔の醜いのは、なんという事だ？
左半面にまるで、まるでそこら中に落ちているゴミが、まとわりついたような顔だ。どうして、おれの顔は　こんななんだ？」

その両手を縛られ、首に輪っかをはめこまれたような奇妙な格好をした若い男は、苦悶の表情を浮かべた。その半面に、あらゆるキカイを見につけたその男は、自分の生い立ちを探る旅に出る事になるだろう。
そう、明日にでも。
怒りを込めて、見上げる空はしかし、どこまでも蒼く、そして遠かった。