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「これ、私のポリデント。」
颯爽とする街中。僕の目の前にいるのは、眼鏡をかけたかわいい女の子。
この子は何を言ってるんだろう。
「私のポリデント? 」
それを僕に伝えていったいどうしたんだろう。
話が苦手な彼女が一生懸命に口にした言葉だ。
きっと、何か深い意味が、あるに違いない。
ただ解るのは、「私のポリデント」と言う言葉だけ。
つまり、私は、入れ歯を使っているけ、あなたも入れ歯でしょ。ってことなのか?
「違う……私、初めて、だ……から。緊張して」
初めてだった……つまり、ポリデント初体験。
初めてのだから、一緒に体験しようってことか。
「僕も初めてだから緊張すよ。CMては、みたことあるんだけど」
「そう、だったんだ」
彼女の表情が輝いた。
「一緒にしようか初めてのポリデント」
瞬間彼女と僕の間に溝が生まれた気がした。
「ポリデント……ちが、違うんです。これ」
「でも、ポリデントって」
「違う。ポリデントじゃなくて、プレゼント」
彼女は、声を張り上げた。
周りの人が、一瞬こっちを見たような気がする。
彼女の手には赤い包装紙に包まれた箱。
それに、負けないほど女の子の顔は、真っ赤になっていた。
そうか、やっと彼女が伝えたいことがわかった。
「これ? なに? 」
「ポリ……プレ……」
「リカルデント?」
「もう、しらない」
「ごめんって」
彼女の、機嫌をとるように肩をよせる。
やっぱり僕の彼女のは、かわいい。
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