■VIOLET

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二人が帰ろうか、と相談しているのを見ながらそんなことをふと思う。 『彼氏』だった時の方が長いからなのか、私のマインドのせいなのか、指輪を見ると、時々そんなことを考えてしまう。 「……ちゃんと話してあげてね。君が躊躇したように、彼女も多分どこかで止めて欲しいって感じてると思う」 余計なお世話かも。なんて思ったけど、立ち上がり掛けたヤチさんにのんびりと告げた。 「そのつもりです。ほんと、ありがとうございます」 「こちらこそ。考えさせられることもあったから楽しかった」 「でもこういう場所なら何も考えないで楽しみたかったり、するんじゃないですか?」 「んー、半分正解で半分外れ。考えてセックスしたいし、考えずに感じたい」 意図を汲み損ねた二人の視線を感じて、私は目を細める。 彼らとの心的で身体的な触れ合いが端々に残ってる。これが刺激になって、夫とのセックスがまた楽しくなる。 「だから私はここにいるの」 曖昧な私の答えに彼らも曖昧に息を漏らして笑ってくれた。 わかってもわからなくても、目的は基本的に一緒。この場所は、そういうことが許される。 立ち上がった二人が「それじゃ」と言って私に手を挙げ、それに私は手を振り返した。     
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