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ロッカーの中身を取り出して出入り口へ向かう。23時を少し過ぎたところ。ちょうどいい時間。普通の時間の流れとこの中での感覚は少し異なった。
「いかがでした?初めての単独は」
物柔らかな口調と表情で彼は私を窺い見る。
「楽しかったです。とっても」
「それならよかった。ではこちらがミオさんの会員証です。次回以降お持ち下さいね」
差し出されたカードを受け取って、もう一度彼と目を合わせた。
会員になった今日の日付。単独女性についたチェック。プレイネームが記載された会員証。見つかったらいけない唯一の証拠。
欲望にまみれたこの雑居ビルの片隅で、私も何かを起こす一人になる。
「どうも。じゃ、おやすみなさい」
「おやすみなさい。お気をつけて」
私が名付けた『ミオ』という人格。ここでだけ生きることが許される。
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