788人が本棚に入れています
本棚に追加
--*--*--
どうせするなら、とことん楽しみたい。
私以外の女の子とキスしている彼をくすくすと笑いながら眺め、煽る。
「舌も出して。私のこと見ながら」
彼は無表情で、彼女は不安げに、私を見ながら舌先だけのキスをして、私は堪らず口元を隠し嗤った。
なんて楽しい。でも、全然足りない。もっと欲情してくれなきゃ。私だけが楽しい想いしたって面白くないもの。
ルームに入って服を脱がせ合う。こっちの彼は随分慣れているみたい。
誘導、雰囲気の持っていき方、盛り上げ方とか色々。遊び人なんだろうな。
場を崩さないようにしながら、ちょっとした私の息遣いや視線、声色をよく観察してる。
何度も『可愛い』って言われて嬉しくもなった。
昂くんに言われたの、いつだっけ。
……彼に言ってみちゃおうか。多分、悪いようにはしないはず。
服を脱がせ合って向かい合って座って跨って、耳元でそっと囁く。
「……たまには、他の人としてみたいなって思ってたの」
法律も社会も当然配偶者も、本来それを許さない。だったら、同罪にすればいい。
同じ場所で、同じように、相手を変えてしちゃえばいい。
そんな遊び心、君なら理解した上で、盛り上げてくれそうだから。
「可愛いな」
「ありがと」
「悪い人だ」
「悪い事?」
「嫌いじゃないよ。協力する。どうしたい?」
「彼をもっと、セックスに貪欲にさせたいの」
「貪欲?あれ、アヤさんが今楽しみたいんじゃないの?」
「全てのセックスは夫婦関係に繋がるのよ」
「そういうもん?じゃあさ、お手本見せてあげようよ」
隣で控えめな絡み方をしてる二人を見遣り、クスクス笑い。
時折指先に弄ばれながらふとした思い付きに楽しくなって、くふふ、と漏らした。
「なに?」
「私が彼女を責めちゃうとか?」
「いいと思う。それ、俺も見たい」
試行錯誤、重ねてやらなきゃ、初めて出逢ったこの彼女を感じさせられないよ。
格好つけた所でもう裸なんだから、王様気取っても無意味でしょ?
--*--*--
最初のコメントを投稿しよう!