■INDIGO

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「今夜も旦那さんは出張ですか?」 ニコさんに尋ねられて顔をそちらに向けた。 「うん。でなきゃ夜は来れないの」 「旦那さんに言われて来てる、とかでもないんですね。『俺の居ぬ間にセックスしてこい』みたいな」 鬼の居ぬ間に洗濯、的な物言いに、「あははっ!」と声を出して笑う。 隣の彼もふっと息を漏らした。互いに流し目でかち合った視線。 セクシーな目だなぁ。色っぽいっていうかセクシーという言葉が似合う。正面から見つめられたらとろけちゃいそう。 「それだったら面白いなー。でも残念ながら。これは本当に私の意志だし内緒なの」 「あんまり既婚っぽくないですね。まあ、こういう所に来る人って生活感ある人いないけど」 見た目の割に深い声。シンヤさんを見ながら年齢を推し量る。どこか浮世離れした雰囲気の彼は、雑誌の中でライトを浴びてたっておかしくなさそうな出で立ちをしていた。 とは言え、合ってしまえば何歳だっていい。どんな職業でも構わない。私が求めているのは、あくまで夫とのセックスに与えるスパイス。 「人のこと言えるほど生活感、あります?」 「まあそうだね。否定はしない」 笑い混じりの言い方もどこか色がある。 「ここ、何回目?」 「2回目です。ハプバー遊びも初心者」 「そうなの?堂々としてるね。間もない子って結構びくついてる子もいるのにな」 「あら。慣れて見えるって言いたいの?」 「んー、いや、地盤がしっかりしてるって感じ。そこは結婚してるせいかも」 「それはある。戻れる場所があるから遊んでいられるもん。君は?してる?」 「ううん。セフレが二人いるだけ」 それに加えてここでも遊ぶのか。 罪作りな男性。本気になっちゃう子だっているでしょうに。それも含めて面倒と感じるタイプかな。 浮世離れで根無し草。悪くない。この先こんな綺麗な顔の人、きっとなかなか現れない。 「ニコ、今日他の単男来ない?」 単男?単独男性の略? 「来店予告があった人が三人いますよ。内二人はそろそろじゃないかな」 「ふうん」
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