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わざわざ男性が男性の来店を気にするもの?
もしかしてそっちの人?だったらちょっと、残念。
「シンヤさんのセフレって男性?」
「なんでよ、違うよ女の子」
ははっと快活な笑い声が小気味よく響く。
「だって今男性来ないのか聞いたじゃない?」
「別に女の子一人に野郎が何人いたって平気だろ」
「ゲイさんかと思って」
「なんだ。違う違う。俺、女の子が誰かにイロイロされてるの見るのが好きでねー」
爽やかな表情に浮かべるにまにまとした笑み。
ああ、そういうこと。本当に人は見た目じゃわからない。この顔でそんなこと考えてるってわかったら、二度見じゃきかない。聞かされたってもし愛してたら戸惑ってしまう。
「……君の頭の中ではその女の子は私になり得る?」
私とだったらありだろうか。前はちょっとだけ想像してた3Pと違ったし。
セックスのスパイスどころじゃない。オナニーにだって使えそうなシチュエーション。
「乳首弄られてミオちゃんが喘いでるのを見てるとこまでは想像した」
骨ばった手がそれに似合わない体温を持ったまま私の耳元に伸びて頬を覆う。
薄目で見遣り、彼に視線を移した。やっぱり綺麗な顔。
彼が口にしたのと同じ状況を想像して、この視線が私に注がれると思うとそれだけで背筋に粟立つものがあった。
「自由な発想をお持ちだね」
「呆れた?あ、むしろ引いた?」
「全然。ここはそういう何かを起こす場所でしょう?」
小首を傾げて目を細めると、ふにふにと柔らかく摘まれて動物みたいに頭を捩る。
こういう触れ合い、とても好き。普通の飲み屋じゃ味わえなくて、昂くんにされるのも好きだけどそれもちょっとだけ違う。
何が違うんだろうな、と考えた所でインターホンが鳴った。誰か来たみたい。ニコさんがぱたぱたとカウンターの奥へ向かう。
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