3人が本棚に入れています
本棚に追加
「智子―!朝ご飯はどうするのー?」
母の声で私は目を覚ました。瞬きをすると、涙が眼尻からこぼれた。
「みーちゃん・・・」
大好きだった。大好きで大好きで、お別れしたくなかった。
みーちゃんは消えてしまった。
じゃあ、美香は?幼稚園からずっと一緒にいた美香は一体。
みーちゃんが消えてしまった事で、私が美香を作り出したの?美人で社交的で友達思いの親友として、私が作り出した?
私だったんだ・・・
みーちゃんも、田中先輩も新村君も蒲田先輩も、私が消してしまったんだ。
どうしてそんな力が私にあるのかは分からないし、わざと皆を消した訳でもない。でも、皆を消してしまった責任を感じていた。皆、何も悪いことなんてしていないのに。
立ち直るのにどれくらいの時間が掛かるのか、見当も付かない。でも大丈夫。きっと美香が慰めてくれるから。
女は男を見た。
普通の男なら、「何訳の分からない話を」と言い捨てて出て行っただろう。例え女に美香という親友がいて、1度も姿を見たことがなかったとしても、気にせずに出て行けただろう。
しかし、男は出て行くことが出来なかった。顔色を真っ青にして、女を凝視することしか出来なかった。
なぜなら、男は女のテニスサークルの先輩で、鎌田と最後にプレーをしていた人間だったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!