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「おはよう」
そう言ってリビングに入っていくと、お母さんが心配そうに話しかけてきた。
「ちょっと智子大丈夫?昨夜はご飯も食べずに寝てしまって。起こそうとしたけど全然目を覚まさないんだもの。よっぽど疲れていたのね」
私、あのまま眠ってしまったんだ。
確かに、昨日はとても疲れていた。とても・・・
「行って来ます」
そう言って家を出たものの、私は学校に行く気になれなかった。
新村君に会うのが怖いのだ。
新村君がどんな目で私を見るのか、それを知るのが怖かった。
通学路にある公園のベンチに座り、時間が過ぎるのを待った。
でも、田中先輩のことが気になるし、学校をさぼるのは初めての事だし、居たたまれなくなって30分後くらいには学校に向かった。
私がそろそろと教室に入ると
「山岸、どうしたんだ?」
と先生が聞いてきた。
「あの、お腹が痛くなったので、公園で休んでから来ました」
「保健室に行かなくて大丈夫か?」
「もう大丈夫です。すみません」
「具合が悪くなったら、すぐに言えよ」
「はい」
恐る恐る新村君を確認すると、窓際の後ろの席は2つ空席だった。
新村君は休みなんだ、私はほっとした。
休み時間になると、美香が私の席にやって来た。いつもなら田中先輩を見に3階に行くところだが、さすがに昨日の今日で行き辛いのか、それとも私の体調を気遣ってくれたのか。
「智子、お腹は大丈夫なの?」
「あ、うん。もう全然痛くないよ」
「なら良かった」
美香はそう言うと黙り込んだ。
「美香、田中先輩の所は・・・行かなくていいの?」
私は視線をそらして尋ねた。
「田中先輩ね、昨日具合が悪くて早退したらしいんだけど、家に帰ってないんだって。昨日の夜、お兄ちゃんにも田中先輩の行方を知らないかって連絡が回って来たんだけど、まだ見つかっていないみたい」
「そう、なんだ」
私には、そう答えるのが精一杯だった。
「そういえば新村君」
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