死桜

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「わかったわかった。あーあ、いつまで経っても白の字には敵わないな。ねえ、コウちゃん」 「私は陽心に負けたことなどない。あとコウちゃんと呼ぶな」  興信が不満げな声を出した。残念そうに碧泊がいう。 「ああ、負けたことに気づいてないんだ……」 「貴様何を言うかっ」  精霊が碧泊の首に巻きつく。 「うぐっ」 「座って」  精霊は、碧泊の首をギリギリと締め上げた。 「す……座るからっ、やめ、死ぬ……っ」  やがて、碧泊はがくりとこうべを垂れた。興信はため息をつき、 「全く世話の焼ける」  魂を飛ばしている碧泊を、ずるずる引きずっていく。にぎやかな三老だ。陽心はこちらを見て、すっ、と何かを差し出した。真桜は、差し出されたものに視線を落とす。 「……これは」 「薬木(やくぼく)の根っこ。噛むと吐き気が収まる」 「ありがとうございます」  陽心は笑みを浮かべ、興信たちと共に歩いて行った。これで白、青、黄家は揃った。あとは緋家だが……。 「真桜さま、休んでください」  月桃が椅子を指して言う。 「いや、五大家への挨拶が済んでいないから」 「立ちっぱなしではお身体に触ります」  さあさあと勧められて、真桜は腰掛けた。月桃が水を差し出して来る。 「お水を飲まれますか」 「ありがとう」     
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