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寒さのピークを越え、ほんのり冬の終わりを感じる程度の暖かさがちらりと顔を見せ出した頃、僕達は卒業を迎えた。  あっという間の、中学三年間だった。高校に入ったら、皆それぞれの道に進みだす。受験という戦いを終え、僕の進路も決まっていた。  いよいよなんだなと感慨にふけりながらも、どこかほっとしている自分がいた。永い永い葛藤を一旦これで終えられる。そう思うと肩の荷が少し下りた。 「おう、薫かおる」  僕の名を呼ぶ、ずっと昔から馴染み切った声がした。そこにはやはり快活な笑顔を浮かべた、雅人まさとの顔があった。 「帰るか」 「うん」  別に毎日そうしているわけでもないが、下校時間に顔を合わせれば僕達はいつも帰り路を共にした。 「お、卒業の日まで二人でお帰りとは、あついねー」 「ちげーよ」  雅人は何も動じず軽く級友からの言葉をあしらった。このやり取りにも慣れたものだ。  実際そんな訳がない。単純に僕と雅人は幼馴染で、家も徒歩三十秒でいける程近い距離なものだから帰り道がほとんど一緒なのだ。ずっと仲良くしてきた気楽さもあって、僕達にとって二人で帰る事はなんら不自然なものでもなかった。     
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