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「こうやってイジられんのも、今日で終わりだな」
「だね」
「一緒の高校にいけりゃ良かったけど、俺とお前じゃ頭の出来が違いすぎるわ」
「そんな事ない、って言いたいとこだけど、否定できないね」
「ま、しゃーねーわな」
学年でも上位の成績である僕と、中下層にあたる雅人の成績では致し方ない事だった。
正直雅人と同じ高校に行きたいと思った。でもその為に自分がレベルを落とすなんて雅人に失礼だし、そんな自分の気持ちを押し付ける程傲慢でもなかった。
「どっちにしろ家は近いしな」
「いつでも遊べるしね」
「そーそー」
そうだ。僕達の距離は変わらない。ずっとずっと、このままだ。
ずっと。
「……っと」
「ん? 何か言ったか?」
「いや、何にも」
ふうと空に息を吐いた。三年分溜めてきた塊の一部が、少し漏れた感じがした。
「お疲れだったな」
それだけで僕の気持ちを汲み取ったらしい。長く幼馴染を続けてきただけはある。理由はそれだけではないけれど。
「うん。でも雅人がいてくれて良かった。ずっと仮面を被り続けるのって、やっぱ疲れるからね」
「だろうな。想像もつかねえけど」
「想像できるもんじゃないよ、きっと」
「だよな」
でも、きっと雅人も全ては知らない。
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