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「よくここまで世界中からかき集めたものね。どれだけあるの?」
「およそ500万トンよ。日本での梅の生産量と比べるなら、50年分ね」
「うわー、じゃあ今頃スーパーの棚から梅干し消えてるのね」
想像すると実にシュールな光景であるが、今はそんな事はどうでもいい。
「フェーズ2! 金属鉱と入れ替わった梅干しをこっちの彼が超能力で酸っぱくしていきます」
「あ、ども。超能力者です」
ぺこりと会釈する直哉。菜穂子と同じく、緊張感はあまりない。
「フェーズ3! 地球は救われる! 以上、終わり」
「あ、あの……」
集められた人たちの最前列にいたひとりが、おずおずと発言を求める。
「ええと、彼女たちがそういう超能力者だってのはある程度は知っていますけど、それがどうして地球を救う手段になるんでしょう?」
「酸っぱくするって事は、ナトリウムよ! 時間もないからこれ以上の説明はしないし、意見も聞かないわ」
ナターシャの言葉に「ナトリウム?」「それが何だ?」とあちこちでつぶやきが漏れる。
ただここに居並ぶのは、ほとんどが科学者や知識人などの選ばれし者たちだ。つぶやきが感嘆に変わるのにさほどの時間はいらなかった。
そして、感嘆は少しずつ興奮へのうねりとなる。
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