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「わかったわね! それじゃあ、各人の仕事に就いて!」
「イエッサー!!」
ナターシャの命令に呼応して、即座にそれぞれに散開する。
「さて、あなたたちも準備はできてるわね」
「うん、問題ないわ」
「俺も大丈夫だ」
菜穂子と直哉はお互いにうなずきあい、改めてナターシャに向き直る。
「ただその前に一つだけ聞かせてもらいたいの?」
「何よ?」
「ナトリウムってなに?」
「そうそう。なんとなくわかったフリしてたけど、実は全くの意味不明で」
「……」
ナターシャが心底から呆れたようなため息をこぼした。
「あのさ、酸っぱい梅干しとそうでない梅干しの違いってわかる?」
「それはほどよく塩に漬かってるかどうかだろ」
「じゃあ、塩ってのは化学式で言うと?」
「塩化ナトリウム……だっけ? そうだよね?」
化学は苦手なようで自信なさげに応える菜穂子。
「すると酸っぱくなるって事は、ナトリウムの量が増えるって事でいいのか?」
「ええ、そうよ」
直哉の言葉に、ナターシャは梅干しの山を指差した。
「あの梅干しを隕石の内部に移動させ、ナトリウム含有量を増やす。宇宙は真空状態だから、それは純物質--つまりは金属ナトリウムに近い性質だと推測できる。そして金属ナトリウムは水分と激しく反応する」
「……」
「……」
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