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ナターシャはへなへなとその場に座り込んだ。
★
「青いなぁ……」
呆けたようにつぶやくナターシャ。思えばここしばらく、まともに空など見た事はなかったかもしれない。
背中に感じる砂漠の細かな粒子の感覚が実に心地よかった。
寝そべったままで、もう30分ほどは経っただろうか。
事後処理やら何やらでやる事は山積みなのだが、何もやる気は起きなかった。
「いやー、なんだかんだあったけどよかったわね」
「これからが色々と大変そうだけどな」
ナターシャを挟んで同じく寝転がる菜穂子と直哉が、どこか他人事のように言う。
「そうそう大変大変。何しろ梅干しが品不足だから、日の丸弁当の価格高騰がえらい事になっちゃうし」
「来年から24時間テレビのタイトルが「愛はおにぎりを救う」になるしな」
「それくらいどうでもいいじゃないの。あなたたちは英雄になったんだから」
あくまで非公式にではあるが。
とはいえ、このふたりはそういう事にはあまり興味はないらしい。
彼らの興味は別の物体に向いていた。
「見て見て! 流れ星!」
菜穂子が指差す先に、大きな尾を引いた流れ星が空を渡っていた。
あれこそが件の隕石だ。
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