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働いていないという言い方には納得できない思いもあるが、滅亡回避という結果が出せていない以上は否定ができなかった。
「大丈夫か? 少し顔色悪いぞ」
「普通こんな状況じゃ悪くもなるわよ」
直哉の問いかけに、苦笑を浮かべるナターシャ。
ただでさえ周りをはるかに年上の人間に囲まれての仕事はストレスが溜まる上に、焦燥感と死の恐怖は、毎日濃くなっていく。
妙な知り合い方ではあるが、こうやって同じ年のふたりの顔を見る事はナターシャにとってある種の精神安定剤になっていたりする。
まあ、そんな恥ずかしい事はあえて口には出さないが。
「あなたたちはずいぶんとお気楽そうにしてるけど、少しは恐怖心とかないわけ?」
テーブルにつきながら、ナターシャが問う。
「ない事はないけど、今一つまだ現実感がないせいかもな。本当にもうすぐ地球が終わるとか、規模がでかすぎてピンとこない」
「あとはどうせ全滅するならジタバタしてもしょうがないってもあるわね。人類みな兄弟。人類みな死亡。これこそが真の平等」
「確かにな。七割は崩壊しますとかの方が逆に嫌だわ」
ずいぶんと達観している事を言い合う両名。
ある意味では危険思想であるが、地球に住む人間はみんなこうならパニックなど起こらないんだろうなと思ったりする。
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