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「機密情報だから答えにくいだろうけど、隕石の衝突までは、あとどれくらいあるの?」
「……およそ100時間ちょっと」
「わ、マジで」
具体的な数字を言及され、さすがに菜穂子の口調も少しばかり真剣みが帯びる。
「なんとかならないものなの? 精鋭の掘削集団を隕石に送り込んで、中心部に爆薬仕掛けるとか」
「いや、映画観たいな事は現実じゃ無理だから」
「ブルース・ウィリスとギャラの折り合いがつかなかったから?」
「岩盤が硬すぎて奥深くまで掘削するのが不可能なのよ。さらに調査によると内部にはダイヤモンドよりはるかに強度がある金属鉱が詰まってるらしいから」
「だったら、地球にある核ミサイルを全て打ち込むとかどうだ?」
今度が直哉が口を挟むが、ナターシャの首は横に振られる。
「地球から発射なんて完全に射程外。仮にスペースシャトルなりに括り付けて宇宙まで運ぶ事が可能だとしても、そもそも大気がない状態で爆発させたって、たいしたエネルギーは与えられないわ」
「ようは素人が思いつくような手段じゃ無理って事だな」
椅子の背もたれに身をあずけて、頭上をあおぐ直哉。
3人の囲むテーブルには沈黙が落ちる。
空気を変えるべく、ナターシャが冗談交じりに言う。
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