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「まあ、菜穂子の超能力で隕石の中身を梅干しにしてくれるってなら話は別だけどね」
「できるけど」
「それじゃ、私はそろそろ次の予定があるから行くわ」
腕時計を確認しつつ立ち上がるナターシャ。くるりと踵を返して歩き出し--
「……あなた今何て言った?」
「できるけどって」
「確認だけど、隕石の中身を梅干しにする事をよ?」
「だから、できるって。やろうと思えばね」
「ど、どうやってよ!?」
一瞬で距離をつめたナターシャは、テーブルから身を乗り出さんばかりに菜穂子に詰め寄った。
「だって、あなたの超能力って梅干しおにぎりと中身を入れ替える事でしょ! そんなバカみたいな能力でどうやるのよ?」
「バカみたいで悪かったわね」
菜穂子は憮然としながらも、食べかけになっていたそれを手に取る。
「これは何て名称?」
「え? おにぎりだけど」
「そうね。じゃあ、もし仮に形が三角じゃなくて、丸だとしたら?」
「おにぎりなのは一緒でしょ」
「具材がタラコや高菜、ウインナー、あるいは何も入ってなかったらとしたら?」
「……おにぎり」
「白米じゃなくて、ワカメごはんやチキンライスだとしたら?」
「………」
「巻かれているのが海苔じゃなくて、とろろ昆布や薄焼き卵だとしたら、それは?」
「……あなた何の話がしたいわけ?」
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