Carol af flammen.

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Carol af flammen.

『おばあちゃん』  私の側には、おばあちゃんがいました。  私を愛してくれた、ただ一人の人。 『おばあちゃん』  おばあちゃんは、私の頭を撫でました。  大きくて、少しごつごつしていて、優しい手。 『おばあちゃん』  私は、おばあちゃんの温もりに抱かれていました。  あったかくて、眠たくなるような、温もり。 『おばあちゃん。おばあちゃん』  ほろり、涙が零れました。  …今の私には、分かっていたのです。  ここがどこなのか。  どうして死んでしまったおばあちゃんが、私の側にいるのか。  …けれどそんなの、どうだって良いのです。  私は、今、おばあちゃんといるだけで。  私を愛してくれた、たった一人の人といるだけで。  …それだけで、幸せなのですから。 『…キャロル』  おばあちゃんは、私の名前を呼びました。  優しくて、懐かしい、聞いていて安心する声。 『どうしたの?』 『…キャロル、私の可愛い子。  また、貴方に会えます様に。  …今度は、もうちょっと後で、ね?』  どういう事?  そう、問い掛けるより前に。  おばあちゃんが、消えていきます。  消えてしまう。  黒い闇に飲まれてしまう。  微笑んだまま。  そこに、温もりを残したまま。     
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