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差し出されたマグカップの中に入っているのは、真白な、とろりとした液体。
…私は、それを飲めませんでした。
怖くて。
この液体の中に、何か恐ろしい物が混ざっているんじゃないかって。
とても…とっても、怖くなって。
「…まぁ、仕方の無い事か」
黒い魔女さんは、さぁっとフードを取ります。
とても綺麗な、女性でした。
零れるのは、真っ白な長い髪。
私を見る鋭い目の中には、真っ赤な瞳。
顔には、沢山の傷跡。
…噂に、聞いた事がありました。
この世界には、赤い瞳に白い髪を持つ、世界に災いをもたらす人達がいると。
そしてその一人が、私の住む街の外れで、魔女をしていると。
目の前にいる、この人は、
…まさに、そういう人達の、様で。
体中が、冷たい氷水に浸かった様な。
カタカタと、震え出して。
コップの飲み物が、細かく、震えて。
「…大丈夫か?」
女性はすっと身を乗り出して、私の顔を覗き込みました。
その鋭い目は、私を心配する様にへにゃりと歪んでいて。
「…はい、大丈夫…です」
「…なら良いんだ」
女性はふっと微笑むと椅子に腰掛け、ズッとマグカップを啜り、
「…うん、美味い」
ふっと、微笑みました。
…私は、すっと、白い液体を啜ります。
「……美味しい…!」
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