始章、奇跡と平凡

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そう真摯(しんし)(?)に(いの)ってみたところで、神様(かみさま)とか悪魔(あくま)じみた存在(そんざい)が 『どーん!』 と降臨(こうりん)して(ねが)いを(かな)えてくれる(はず)()(わけ)で、たちまちわたしのか(よわ)自我(じが)は、寂寞(せきばく)とした風景(ふうけい)(なか)にひっそりと(たたず)精神(せいしん)(いずみ)(ふち)()(すく)み、その(くら)(よど)んだ水面(すいめん)一点(いってん)をぼんやりと()つめる(こと)しか出来(でき)なくなってしまうのです。 そして(いま)は、絶賛(ぜっさん)昼休(ひるやす)みの()最中(さいちゅう)。 みんなが()かれ(さわ)教室(きょうしつ)で、結局(けっきょく)堂々(どうどう)(めぐ)りでしかない思索(しさく)一人(ひとり)(ふけ)りながら、今日(きょう)多量(たりょう)()(いき)教室(きょうしつ)(ない)放出(ほうしゅつ)しているわたしは、毎日(まいにち)こんな(ふう)思考(しこう)()調和(ちょうわ)をただぐつぐつと大鍋(おおなべ)煮込(にこ)んだだけの、(げき)不味(まず)いスープを五感(ごかん)一杯(いっぱい)(あじ)わう(こと)日課(にっか)としているのでした。
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