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まるでスローモーションのように宙を舞う山神
咄嗟の判断で体を守る
だが、トラックには勝てるわけが───
数十メートル飛ばされた山神
ゆっくりと目を開ける───
道端に倒れ込んでいた山神が、ゆっくりと身を立たせた。
僅かに、尻が痛むものの
あの衝撃からは考えられないくらい、山神は無傷だった。
だが、カバンはペチャンコに潰され
スマホは粉々になっていた。
クソッ───
使い物にならなくなったカバンを置き去りにして
トボトボと、再び歩き出す山神。
その目には涙が溢れていた。
なんという不運、不幸───
巨大な立体交差の下の空き地で、山神は座りこんだ。
疲労と眠気が襲う
もう、寒さは感じない。
山神は、そのまま眠り込んでいた。
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