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翌日山神は、派遣の仕事を無断欠勤し、私物を売りに動いた。
そういう事にだけは、彼はアクティブなのだ。
まる一日費やし、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機やらの家電
唯一の宝物のパソコン(とはいってもWindows95)
プレステ2、CD 、ゲーム、漫画本……そして、オンボロ軽自動車───
ありとあらゆるモノを処分し、手にした現金、僅か17120円。
手持ちの現金を合わせても、たった17882円───
派遣会社からは、数十回と電話がきていたがすべて無視。
もう、ここの派遣会社もブラックリストだろう。
だが、もはや関係ない。
がらんとした部屋を気持ち程度に掃除する。
もう、後戻りは出来ない。
東京に行けば、仕事は腐るほどある───
その根拠のない思いだけが、今の山神を支配していた。
部屋の鍵を郵便受けに入れ、雪がちらつく深夜1時半
山神は遠い駅へと向かった。
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