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少しぬるめのお湯を頭から浴びても、滑り落ちてくる水滴が尖端を刺激するだけで熱は落ち着く様子がない。春先から年甲斐もなく幾度も吐き出してきた
無駄な欲望を、溜息をついてから握る。ザーと籠った室内で響く水音を聞いていても、閉じた瞼に映るのは沙也加のいやらしい表情。リピートされる上擦った声。
喉の奥から漏れる熱い吐息と緩い快感に、左手を壁に付いて耐える。ひんやりとした壁に全身を付けたら、この熱は治まるだろうか。
「っ?!」
突如自身に触れた冷たいものに、思わず目を開けると小さな手が二つそれを申し訳なさそうに握っている。直後背中に触れた温かさに、心が落ち着くのを感じた。
「ひとりでしないでください」
シャワーの音でかき消されそうな声だった。トロけさせないと積極的にならない沙也加から、こんなことされるなんて。
「あまり煽るな」
「___だって、辛い・・ですよね?」
「・・・」
「私、大丈夫ですよ?」
ぐりぐりと子どものように頭を背中に擦り付けられ、辛うじて抑えられていた理性が唸りを上げた気がした。どんな顔をしているのかはわからない。それでも振り返って見降ろした沙也加の見上げてくる瞳に軽蔑の色はなくて、全てを受け入れるように擦り寄ってくる姿に白旗を上げる。
「馬鹿が」
沙也加の身体が冷えない様に、温度を上げたシャワーを背中に当てながら壁に手を付かせる。硬度を上げる自分のそれを、後ろから沙也加のそこに押し当てる。このまま欲望に任せてしまえたらいいのに、それを上回るこいつへの気持ちが野蛮な行いをストップさせている。私も丸くなったものだ。
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