欲望の彼方

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ここまで読んでもらえればわかるだろう 事件なんて起こってなどいないのだ 今から解き明かすのは坂本がうわっと言った謎だけだ 「中村さんが…」と話を進めようとすると「坂本です」と坂本が言う 「なぜうわーんと泣いたか」と進めようとすると「驚いていただけです」と私が言う 名探偵の語りとは無縁に思えるような謎ときは的をとらえずにことを進める 「どうして中村…坂本さんが叫んだかというと」 私たちはどうでもいいと思い話を続けさせた 「それは上を見てください」 片岡に言われるがまま上を見ると天井が、昔ながらの電気がぶら下がっていた
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