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「大丈夫かっ! カンナ!」
「えへへ……かっこ悪いね。やっぱり私たちって弱いんだね。無菌衣を脱いでも、私たちは、私たちのまま」
がくがくと震える彼女の背中をさする。
僕は、目の前で一輪花の花弁がひらりと落ちたのを見たようで、どうにかなってしまいそうだった。はらはらとした動悸が僕の身体をも蝕む。
僕と彼女は牛乳を残した。人間と牛の違いはあるけれど、僕らは母乳に拒まれたんだ。――やっぱり、僕らは僕らのまま。世界に受け入れてなどもらえないのだ。
もう一度走り出す。
ちょうど一周してもう一度“White Baby”が流れた。――出発のときは、無菌衣を脱ぎ捨てて生まれ変わったつもりでいたけれど、今はそうじゃないと気づかされた後だ。
》
弱さを知って怖くなり 強さを知って妬むのさ
幸せが平等だなんて謳うロックは聞き飽きた
道徳も枷も蹴っ飛ばして 傍若無人に叫びたい
こんな気持ち我儘ですか?
アブノーマルをサクセスに
――なんてお涙頂戴失せやがれっ!
Baby Baby White Baby! 僕らはみんなWhite Baby!
Baby Baby White Baby! 普通に生きたいだけなのよ
Baby Baby White Baby! 死ぬのが怖いのWhite Baby!
Baby Baby White Baby! 受け入れられない愛子なの
》
KAORIの歌声が、心臓の奥深くを抉るように突き刺さった。
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