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「ただいま」
ジョシュアは家に帰ると台所へ急いだ。
「おや、おかえりジョシュ。そんなに急いでどうしたんだい?」
窓際で編み物をしている母が振り返る。
「まだ頼まれた仕事あるんだ。あとこれ、依頼主のじいちゃんからじゃがいもたくさん貰ったから、今夜ポタージュ作って。お金一緒に置いとくから、じゃあ!」
ジョシュアは一気にそう言うと急いで家を出た。
走って先ほどの男の家に着くとドアを乱暴にノックした。
「はいはい、そんな叩かなくたって……。ってジョシュじゃないか」
男は息を切らしながら膝に手をつくジョシュアを見て驚いた。
「ごめん、おじさん。とりあえず、水を……」
ジョシュアは途切れ途切れに言う。
「なんだ、走ってきたのか。とりあえず入んな」
男はジョシュアを家に入れると大きめのコップに水を注ぎ、テーブルに置いた。ジョシュアはすかさず一気に飲み干す。
「ぷはぁ……、生き返ったぁ」
「ははは、大げさだな。しかしあんな急がなくても良かったのに。もしかしてこの後、何か用事でもあるのか?」
「ないけど、仕事はお客を極力待たせたくないから」
「すっかりプロだなぁ。こりゃガーネット家安泰も間近だろうな」
男は感心した様に言う。
「それより、ばあちゃんの部屋どこら辺か指示頼むよ」
ジョシュアは話を遮るように言うと、家を出て腰からH型の金具を取って横のボタンを押した。
ガシャンッガシャンッと音を立て、屋根まで届く梯子に変わる。
ジョシュアは軽々と屋根に登ると、すぐ近くに雨漏りの原因になっている亀裂を見つけた。
「おじさーん、板切れとかあるー?」
「悪い、忘れてた!今から用意してくるがどれ位の大きさだ?」
「一応手持ちあるから大丈夫ー!」
ジョシュアはリュックを屋根に置いて中から板切れを1枚取り出すと、亀裂を隠すように置いた。
「これで大丈夫そうだな」
ジョシュアは片足で板切れを押さえながら釘打ちをしていく。
この街の建物は箱に板で蓋をしたような造りだからこそ、こうして修理がしやすい。
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