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と言いつつも、本人も満更でもないのか、無理矢理除けようとはしない。
さすがにか弱い女の子に乱暴するほど浪川も無粋ではないし、周囲の生徒たちの視線は、幸いにもこちらに向いていない。
この通り、何故かは浪川にもわからないが、茉莉沙は妙に浪川にぞっこんな部分がある。
茉莉沙の妙な行動が始まったのはいつぐらいからだろうか。神谷の双子の妹らしいが、 どうにも神谷とは正反対の性格に育っている。
最初はからかいだと思って適度にあしらっていたが、徐々にからかいはエスカレートし、からかいというよりもアプローチと表現した方が自然な行動に変わっていった。
浪川も年頃の男子というだけあり、綺麗な女の子から好意を寄せられるのは悪い気分ではないが、本気で好意を寄せられてると捉える程盛んでもない。
それに──だいたいこういう時に何が起こるのかも察している。
「よし、変な悪寒がするんから、そろそろ頼む、離してくれ」
なんとなく危機を察した浪川は、最後の抵抗をした。
「茉莉沙、そろそろたのむから」
「……で、何鼻の下伸ばしてるんだ、浪川?」
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