Chapter3『ようこそ、生徒総本部』

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 昨日の事件についての職員会議が、放課後、西側のビルの第二会議室で開かれていた。  浪川が乱入した話は置かれたまま議論に上がることはなく、主な議題は神谷健吾の今後の処遇についてだった。  被害者の保護者は刑事告発する事を考えていたか、学校側としては法廷に迷惑をかけるようなことは是が非でも免れたいというのが本音だった。ただでさえ世評は風当たりが強いのに、これ以上疑惑の火に薪をくべる真似はしたくないからだろう。  学校は、出来る限り内輪で解決できる手段を模索していた。そしてそれは詰まる所、神谷健吾に対する学校側からの罰則の強化だった。  途中、東城をはじめとした神谷をよく知る教員たちからの異議が飛んでくる場面も度々あったが、学園長の一声で強引に議論は神谷を退学させる方針で固まった。  既に警察とは話の折を済ませてあるが、結局はお互いに話をなあなあにしたというのが実態だ。  この結果をどこからか聞いた関川は、とうとう堪忍袋の尾が切れ、職員室にいた桑原を強制的に引っ張り出し、激しい論戦を繰り広げていた。
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